就業規則の周知義務と周知方法
就業規則を作成(変更)しただけでは、就業規則の効果が発生しないので注意しましょう。
勘違いしている経営者もいますが、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出たら無事完了ではありません。
就業規則は、従業員の方々に「知らせる=周知」することで、初めて効果が発生します。
従業員に就業規則を周知しない会社もありますが、従業員に周知しない事は法律違反であり、更にトラブルも生じるので注意しましょう。
トラブル例
某X社に勤める入社半年の山田花子さんさん。
X社は山田花子さんから
「母親が亡くなったので、3日間仕事を休みます。」
との連絡を受けた。
ところが、約束の3日を経過しても山田さんは出社しなかった。
そこでX社は、山田さんの自宅訪問や携帯電話に何回も電話を入れるが、山田さんとは連絡取れず。
更に14日経過……
X社は、無断欠勤を続ける山田さんに対して、
「こんな非常識な従業員は、辞めさせて当然だ!!」
と金庫の奥から取り出してきた就業規則を根拠に、懲戒解雇として処理した。
山田さんを解雇し、頭を抱える問題が一つ無くなったと思いきや……
山田さんが突然の出社!
山田さんは自分が知らない間に解雇されていた事を知り、
「無断欠勤は本当に申し訳ありませんでした。ただ、いくらなんでも一方的な解雇は酷過ぎて納得できません。」
と主張。
X社は、就業規則を山田さんに見せ、
【無断もしくは正当な理由のない欠勤が14労働日に及んだときは懲戒解雇する】と記入されているのだから解雇は有効だ
と主張した。
しかし、山田さんは
「今、金庫に就業規則があったことを知りました。自由に閲覧出来ないのに就業規則に記入されていると言われても納得できません。」
と言い残し、労働基準監督署へ向かって行った。
このX社は、就業規則を金庫に入れたままで従業員に周知をしていなかった。
上記の場合、
就業規則の周知義務を怠ったX社は法律違反となり、山田さんの解雇無効となるでしょう。
結論
従業員に就業規則を周知しないのは、経営上大きなリスクを抱えた状態と認識しましょう。
周知方法
周知の方法は、難しくありません。
① 社員食堂等への備付
② 回覧、配布
③ パソコンからの閲覧
というような方法をとれば良いのです。
ポイントは、「自由に閲覧できるか?」です。
就業規則の周知(就業規則の効力発生)を行うことで、「そのような規則は、知らなかったから無効だ。」との主張は通らなくなります。
就業規則の作成、変更の都度、必ず従業員に周知を行いましょう。
周知をしていない就業規則は無意味です。